cado（カドー）のよき理解者であるミュージシャンの山口一郎さんとは、昨年に続く新たなコラボレーションが水面下で進んでいた。期待も多い中であっという間に完売してしまった第一弾。その再販と第二弾の実現に向けて動き始めた模様と、最終目標であるスピーカー付き空気清浄機までの挑戦を追う。

空気清浄機を
スピーカーにするのが
目下の目標

山口　僕がcadoを好きな理由って、デザインと性能をちゃんとバランスをもって作り上げているところなんです。自分も機能性のある音楽と、本質的な音楽を混ぜ合わせているというか。僕はそのバランスを取ることがセンスだと思っているので。どういう風に製品を作っているのかということが知りたかったですし、そういった部分に惹かれました。最初にお会いしたときにも元々cadoの家電が大好きだったので、言いたいことを言いまくりましたよね（笑）。

鈴木　実際にお会いして話してみたら、山口さんって、合理的に答えを出していくっていうよりは直感的だったり自分の実体験から、普通の人なら、こんなことを言ったらどう思われるんだろうって思うようなことを、ポンポン言ってくるんですよ（笑）。アイディアが次々に出てきて、その発想が僕らにはないものなんですよね。例えば、スピーカー付きの空気清浄機があったらいいっていう発想は、僕らからは出てこないんですよ。

山口　家電って、加湿器付き空気清浄機みたいに、組み合わせるときに近いものと組み合わせますよね。

鈴木　そうなんですよ。だから、山口さんの案は面白いと思ったんです。僕らは単機能っていう点に拘って製品を作っているのですが、やっぱりくっつけようってなったら近いものと組み合わせたくなっちゃいますよね。でも、もしもスピーカー付き空気清浄機ができたら、部屋の隅に置かれるものから、部屋の真ん中に置かれるものになるかもしれない。そうすると、より効率良く空気をキレイにすることができるんですよ。山口さんはたぶんそこまでは考えていないと思うんですけど、空気清浄機にスピーカーが付くことって、意外と理にかなっているんですよね（笑）。

山口　音楽の仕事をしているからか、家にあるものはたいていスピーカーだと思われるんですよ（笑）。だから、cadoの空気清浄機も、これスピーカー？って聞かれたことがあって。でも、もしもスピーカー付き空気清浄機があったらLRでテレビ横に2台置いて、テレビ裏のほこりも取れるのになって。

鈴木　それ面白いですね！

山口　だから、僕の夢はcadoの空気清浄機をスピーカーにすることなんですよ。一緒にするっていうのができたら、絶対に面白いなって思っていて。

鈴木　でも、やっぱりそれを作るとなると時間がかかる。最短でも一年近くはかかるので。そのためだけに連絡を取り合うっていうのもあれなので、合間にコラボレーションを挟みながらやりましょうっていう話で、NFとのコラボ加湿器の販売に至りました。でも、ゴールはスピーカーを入れた商品を作ることです。

山口　それで今は、NFコラボの第2弾を空気清浄機で作っているところです。

鈴木　コラボの話をしている間に、今スピーカーこんな感じです、みたいな進捗をご報告しています。この前もスピーカーを入れた空気清浄機を持っていったのですが、しょぼすぎてびっくりして、恥ずかしいからすぐに持って帰ったんですけど（笑）。

山口　スピーカーって鳴らす空間によって音の鳴りが全然違うんで、難しいんですよね。

鈴木　会社で鳴らしたら結構良いんじゃないの？って思ったんですけど、山口さんのところに持っていったら、何か部品足りないんじゃないの？みたいなくらい違って（笑）。そうやってコミュニケーションをとらせていただきながら進めています。

普段とは違う
ミクスチャーによって
見えてくる次のステージ

鈴木　僕らは「空気をデザインする」っていう企業理念を掲げているのですが、エアーをキレイにするだけじゃなくて、僕らの商品が置かれている空間を豊かにしていきたいという思いがあって。言い方を変えれば「空気感」を良くするということです。ただ、この「空気感」を良くするっていうことはなかなかできないと思うんですよ。そこで、山口さんの音や音楽と一緒に、実際に空気もキレイにするし、「空気感」も良くする商品を作りたい。僕らの目指している夢に一歩近づける、ステージを変えていけるきっかけにさせてもらいたい、っていう思いがありますね。

山口　僕らも音楽を作るという、CDを作ることとライブをすることくらいしか表現をできる方法がないなかで、コロナ禍でそれだけじゃ何もできない状況になっているんですよね。だから、プロダクトに音を付けるという、普段とは違うミクスチャーができることで、僕らにとっても勉強になるというか、良い化学反応があっていいなって思っています。まあ、純粋に僕がcadoファンなんですよ（笑）。だから、自分の好きなミュージシャンと何かやりたいっていうのと同じように、自分が大好きな家電メーカーと一緒に何かを作りたいっていう自然な流れな気がしています。作るものは音楽ではないんですけど、音楽がどういう影響を与えるかっていう実験ができるのは楽しみというか。CMで音楽を作るのとは全然違う企業との結びつき方ができるっていうのは新しいと思うし、それが一つのモデルケースになるといいなって思いますね。