休日の昼下がりのお気に入りのカフェ。仕事終わりのヨガスタジオ。いつか宿泊してみたい憧れのホテル……心地のいい空気が流れている場所には、いつもリラックスした雰囲気が漂い、自然と人が集っている。そんな居心地のいい場所をつくるためには、きっと、誰かのちょっとした心遣いや、日々の小さな工夫があるはず。私たちがシンパシーを感じる、空気のデザインされた場所を訪ねて、その心地よさの理由を探ります。
今回訪ねたのは、東京・外苑前の「NEUTRALWORKS.(ニュートラルワークス.)」のプレスルームです。
大人にとってのスポーツとは、“整える行為”。
ビルの4フロアを通して「NEUTRALWORKS.」になっているんですね。
浅川さん はい、1・2階がアパレルショップとカフェスタンド、3階がパーソナルストレッチや低酸素ルームを提供しているフロア、4階がプレスルームになっています。
階下のショップスタッフとのコミュニケーションも多いですか?
浅川さん 4階はプレスルームとスタッフルームになっているので、スタッフとは1日に何度もすれ違いますね。その時に「おはよう」「おつかれさま」といった挨拶はもちろんなんですが、「最近ここを走ったよ」とか「今度ゴルフ教えてね」とか、ちょっとしたパーソナルな会話をすることも多いです。
水谷さん 逆に私たちもショップの中をしょっちゅう通るんですが、毎日見ていてもつい立ち止まってしまって、気づけば買い物をしていることもあったり(笑)。あと、私は今、筋トレをやっているんですが、筋トレってハードに鍛えればいいってわけではなくて、食事とストレッチも大切なので、3階にあるストレッチフロアで「リブート・ストレッチ」を週2回は受けています。
スタッフの方はスポーツをやっている方が多いんでしょうか?
浅川さん ジャンルもスキルもバラバラですが、中には大会に出場するレベルのスタッフもいますね。
水谷さん ついさっきも、スタッフの前田と日本橋まで走ろう計画を立てていたんです。学生時代は陸上をしていましたが、ここ何年も走ることから離れていて、今、走りの壁を再び越えようとしています(笑)。
浅川さん この空間にいるとカラダを動かしたくなっちゃうんですよね(笑)。でも、「早く走らなきゃ」「かっこよくヨガのポーズを決めなきゃ」というのは全然なくて、もっとハードルを下げてスポーツを楽しんでほしくて。スポーツMIXのコーディネートを楽しむ、おいしそうだからスムージーを飲む、デスクワークで体が凝ったからストレッチを受ける……そういうふだんの生活の延長線でスポーツを楽しんでほしいなと思っています。
ここに来るだけでいろいろな入口が見つかるのがいいですね。
浅川さん 学生時代のスポーツってハードに鍛えたり、強くなることを目指しますよね。でも、大人になってスポーツに求めるのって“整える行為”なんじゃないかなと。だから、これからどうやって健康寿命をのばすかを考えた時に、食べるとか、寝るとか、歯を磨くとか、そういうレベルで生活の中に“整える行為”としてスポーツを取り入れて、もっと日常的に楽しんでほしいというのが、私たちの大きなコンセプトです。
外苑前という場所も、神宮球場や秩父宮ラグビー場があったり、オリンピックに向けて国立競技場が建設中だったり、オフィス街でありつつもスポーツを楽しむ空気は日常的に感じやすいですね。
「落ち葉ってこんなにふかふかなんだ!」
浅川さんご自身はどんなスポーツを楽しんでいらっしゃるんですか?
浅川さん ゴルフはずっとやっているんですが、NEUTRALWORKS.に入社してからは、ひととおりなんでもやりました。やってみないとわからないですし、伝えることもできないので、まずはやってみる!(笑)最近はトレイルランニングにハマっています。すべってこけながら楽しんでいます(笑)。
「こんなに足元ってぬめっているんだ!」「落ち葉ってこんなにふかふかなんだ!」って、実際にやって初めて気づくこともたくさんありますね。そんなことをここでスタッフやお客様と話して、「じゃあ今度一緒に行こうよ」なんて、会話が広がっていくこともよくあります。
オフィスで気軽にそんな会話が飛び交うのって、すごくオープンですね。
浅川さん 扉も開けっ放しですしね(笑)
プレスルーム全体、壁がガラスだったり、上部が空いていたりして音と光が通るのはすごく抜け感があって気持ちいいですね。
浅川さん 1階から4階まで風通しよくするということは大切にしています。でも、実は窓が開かないので換気という意味では難しい部分もあるんです。
人もモノも自然となじむ空気感を大切に。
カドーの空気清浄機を入れてくださったのは最近なんですよね?
浅川さん プレスルームをオープンした2年前から空気清浄機はずっと探していたんですが、なかなかピンと来るものがなくて……。プレスルームの空間づくりにはすごくこだわっていて、棚やデスク、椅子なんかも機能性とデザイン性の両方が掛け合わさっているモノをセレクトしているんです。それでいて部屋全体で見た時にプラスにもマイナスにも突出しすぎてなくて、“ニュートラル”であることも大切で。そんな時にたまたま知人からカドーを教えてもらって「出会えた!」って(笑)。一目ぼれでした。
浅川さん オフィスの窓が開かないので、スタッフの一人が風邪をひいてしまうと蔓延しやすかったりもするんですが、カドー製品を置いてからは、まだ誰も風邪をひいていませんね。私自身のことでいうと、仕事柄、展示会シーズンはほとんどしゃべり続けているので、加湿器があるとかなり助かっています。
プレスのお仕事ってどういう業務なんでしょうか?
浅川さん 具体的にいうと商品の貸し出しやカタログの制作、展示会やイベントの企画運営、問い合わせの対応など、外に対してのPR全般ですが、ここで働いている中で気付いたのは、どういう言葉で伝えれば相手の心に響くかを日々考えることが、プレスの役割なのかなと思っています。そのためには、自分が話すことより、話を聞くことが大切なんだと感じています。たとえば、「このボトルはこういう特徴でこうこうで」って説明するのはどちらかというと簡単なことで。それよりも、お客様のお仕事のお話や、時にはパーソナルな部分も含めて伺いながら「この人にはどういう表現でNEUTRALWORKS.のことを伝えたら一番響くかな」ということを、来てくださった一人ひとりに対して考えています。
浅川さん だから、反応があるとすごくうれしいんです。後日ぷらっとお買い物に来てくださったり、相談のお電話をくださったりというのは、その方に対して何か伝わるものがあったからこそ、私たちのブランドを思い出してくれたはずで、一番うれしいですね。やりがいを実感できる瞬間です。
また行きたくなるのって浅川さんをはじめ、ここで働く皆さんからウェルカムな空気を感じるからなんでしょうね。
浅川さん いつでも誰でも気軽に来られる場所にしたいんです。「プレスルーム」という名前ではありますが、別部署のスタッフが打ち合わせに使ってくれるのも歓迎ですし、変な話、別のスポーツメーカーの方に使ってもらってもいいと思ってるんです。ヨガやランといったアスレチックスポーツ全体を盛り上げていきたいという思いがまずあるので。私たちの会社だけではできないことでも、いろいろな方とつながって、広がっていくことで、スポーツに対する考え方やムードが変わって、世の中にそういう空気を生み出していけるはずなので、そこはすごく大切にしていることですね。
「実はここでミーティングをしたことはないんです」。
浅川さん ただ、この空間でミーティングをしたことはないんですよ。「ミーティング」ってなると急にみんなしゃべらなくなって、かしこまった言葉遣いになっちゃうので(笑)。それよりも、もっとフランクにいろいろな人が行き交って、気軽に話をしているというか。会議と言うよりは、”会話”している感覚に近いかもしれませんね。
日常的にコミュニケーションが取れているからこそ、ミーティングや会議がいらないのかもしれませんね。
浅川さん 自分の言葉で話せて、いつもニュートラルでいるというのは大事なことですよね。
ニュートラルってどういう意味なんでしょうか?
浅川さん 自分らしさ、でしょうか。それって無理やり作るものではなくて、その人が自然らしくいられる状態というか。私も他のスタッフも「ニュートラルでいよう!」と思っているわけじゃないんです。ストレスも、意識して「ストレスを与えないぞ!」というのは難しいですよね。だから、自然とストレスを感じない空気感をスタッフと一緒に作るようにしています。ここに来た時はちょっと険しい表情をしていても、いろんな人と話して吐き出しているうちにすっきりしたりとか。どうやって自分を整えていくかを学ぶのも大切だと思います。
先ほどお話してくださった“整える行為”にもつながってきますね。
浅川さん そうですね、整える行為と同じく、自分らしくあるっていうのも、健康で長生きするためには必要なことだと思います。
As you can make yourself cozy at home anywhere if you are with your family, a feeling of coziness depends on how people percept the atmosphere. For example, it has been 2 years since this shop opened and this press room has become a cozy atmosphere for me. We have had a lot of conversations with people from in and out and created lasting memories in this room which became the most pleasant place for me and I feel a sense of coziness. But I get never used to being alone in this room especially when I work late at night.
見知らぬ土地でも家族と旅行に行けばその土地が居心地良く感じるように、居心地の良さとはその人の感じ方によって決まります。例えば、この店がオープンして2年が経ちますが、今取材を受けているこのプレスルームも私にとっては居心地の良い場所です。この2年間、この場所で、社内外の人々とたくさんの会話を交わしてきました。それらの思い出を作ってきたこの部屋は、いつしか私の心落ち着く場となり、今ではとても居心地良く過ごしています。ただし、日中たくさん人が行きかう分、夜一人で作業をしているとその分さみしさが倍増することもあります。